第3章 謎の特訓…と、遭遇
【NO side】
智晃
「つーか、どれ着たって凛にはでけぇだろ」
自室で自らの引き出しを漁りながら、呟きと共に智晃は持っていた服を投げ捨てて諦めた
──────────
智晃
「まぁ、そうなるわな」
智晃はその結果を予想していたようで、腕を組みながら濡れた髪を拭う凛を見て一つ呟く。
父
「何だそれは。さっきまで顔真っ赤にして照れてたくせに!」
智晃の父は彼の先程の様子を思い出し笑いながら肩をバシバシと叩く
智晃
「うっせーよ!」
― 30分前 ―
凛
「先に借りてしまって、すみません。お待たせしました」
智晃
「構わねぇよ、凛は客だ……し」
ソファに腰掛けていた智晃は声がした方へ振り向きながら言葉を発していたが、途中で止まってしまった。
普段、三編みにしている髪は解かれ肩に掛けたタオルを頭に被せながら戻ってきた凛の姿を捉え智晃は言葉同様、固まっていた。
智晃が貸したトレーナーはだぼっとしていて、袖を捲らないと彼女の細腕は全て覆われても余分がある。
長いズボンだと裾を摺る可能性が高いと思った智晃は、自らの膝丈のもにしたがほぼ凛の脚を覆ったので丁度良かったようだ。
智晃が述べたように、身長が178㎝ある智晃と155㎝の凛ではそもそも23㎝も差がある上に体格だって違うのだから結果は見えている。
まず、その普段と違う視覚的要素と凛が自分のものを身に纏っているという妙な刺激的感覚に照れずにいられる方がおかしい、と自分が正しいとしたらしい。
そして、現在に戻り落ち着いた智晃の言動が先程のものに繋がるのだ