第28章 旧調査兵団本部
次の壁外調査が行われるまでの間、エレンの身柄は旧調査兵団本部の古城で保護することになったのだった。
そこは壁からも川からも離れていて、人里も近くには無いのでとても静かだ。隔離して保護しておくにはうってつけの環境である。
彼の護衛と監視はリヴァイ班が担当し、記録係としてハンジ班からは私が同行する。
今、私達の班は、捕獲した巨人の生体実験で忙しい時なのだが、そちらの方の記録はモブリット副長が受け持ってくれるという。
今ではほとんどの絵を私が担当しているが、私が入団する前までは記録図などは副長が描かれていたそうだ。
過去の絵を見せてもらったことがあるが、副長らしい丁寧で分かりやすい絵だった。素直な線の引き方に、とても好感を覚えた事を覚えている。
これからエレンの絵をたくさん描くことになるが、絵の制作には色々と道具が必要になるので、荷物がかさばってしまう。
だが究極、紙と鉛筆さえあればどうとでもなる。
だから私は古城への出発の荷造りの時、必要最低限の道具しか持たなかった。どうしても使う時には、取りに戻ればいいだろう。