第23章 成果
兵長が頼んでくれた料理が続々と運ばれてきて、団長や兵長に勧められるがまま私は次々と平らげていった。
自分はそんなに大食いではないと思っていたけれど、兵士になって基礎代謝が上がったせいなのか、昔よりもずっとたくさん食べるようになったのだ。
「やぁ、実に見事な食いっぷりだ。見ていて気持ちがいいね。どんどん食べるといい」
心底嬉しそうにエルヴィン団長が言うので、私は嬉しいやら恥ずかしいやらで、どんな顔をしたらいいのか分からなくなる。
私ばかりがガツガツと食べていて、お酒を飲んでいる団長や兵長はあまり料理には手をつけない。
もぐもぐと食べ進めていると、ふいに後ろから声が聞こえた。
「これはこれは、珍しい人物に思いがけないところで巡り会ったもんじゃわい」
振り返るとそこには、見事な禿頭に、綺麗に整えられた口ひげを蓄えた年配の兵士が立っていた。
「ピクシス司令ではないですか」
カタン、とエルヴィン団長が椅子から腰を上げて、司令と呼ばれた年配兵士に頭を下げた。
「ん?こちらの可愛らしい兵士は?」
そう言って私の方を見てニッコリと微笑まれたので、私も慌てて立ち上がった。
「調査兵団所属、ラウラ・ローザモンドですっ!」
名乗って敬礼をすると、ピクシス司令は口ひげを撫で付けながら、ニコニコと笑った。