第9章 つんでれアクアマリン【A×O】
もう、ニマニマとグフグフと、デレデレが止まらない俺は、
両手で頬をペシペシと叩いた。
その時…
「智、久しぶりじゃん…」
個室のドアの前で声がした。
ん??知り合いに会ったのかな?そう思ったのも束の間、
「…やめてよ…」
嫌がる智くんの声に、俺は大慌てで部屋の戸を開けた。
すると、部屋の前で、智くんが大柄の男に手首を掴まれていた。
「どうしたの?」
「相葉ちゃん!!…離せよ~」
「なんだ?お前~」
俺を睨んだそいつの手首には、ジャラジャラと金属のブレスレットが幾重にも巻かれていた。
「止めろよ!嫌がってるだろ」
「うるさいんだよ…つ~か。智、こいつ、今の彼氏?」
「ちっ、違うよ…いいから、もう離してよっ!」
「あれ~?お前、もしかして俳優の~…」
側にいた何人かの客が、喧嘩かと、ざわざわし始めた。
「相葉雅紀!そうだよな?」
「だったら、なんだよ?」
「お前、ゲイなの?」
「なっ!…関係ないだろ〜?」
売り言葉に買い言葉…
俺も引くに行けなくなってしまい、智くんを自分の後ろに隠して、ブレスレット野郎に応戦した。
その時、お店の人が仲裁に入ってくれ、なんとか、その場は収まった。
取りあえずは、部屋に戻ったけど、智くんが、
「相葉ちゃん、ダメだよ…誰が聞いてるか分かんないんだから、あんなこと…」
「あんなこと?」
「…ゲイなんて…否定しなきゃ、さ…」
そんな事いいんだ。
そう笑うと、智くんは困った顔をして俯いた。
「それより♪さっき、相葉ちゃんって…呼んでくれたよね♡」
「えっ…?」
「前は、相葉さん、だったでしょ?
俺、それが超嬉しかった!なんか、智くんが近付いて来てくれた気がして~(^-^)」
すると、智くんは、ちょっと驚いたように目を見開いて俺を見た。
…ホントに…何て可愛いんだろ~♡♡