第3章 来栖 龍之介・弐
それから俺は数時間に渡って彼女と体を重ねた。
前から後ろから何度も体位を変え、その体を貪る。
初めはぎこちなかった彼女も完全に俺の手の中に堕ち、すっかり俺とのセックスにのめり込んでいった…
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「…来栖さん……また会って頂けますか…?」
「………」
情事を終え、互いに着替えを済ませたところで彼女がそう声を掛けてくる。
コイツとのセックスもなかなか良いものだった。
その体も魅力的だが、何と言っても俺の加虐心を煽ってくるところがイイ。
いつも泉の好きなようにされている俺にとって、こういう女はとても貴重だ。
彼女の体を引き寄せその唇を奪う。
ドンドンと強めに胸を叩かれたが、構わず濃厚なキスをお見舞いしてやった。
「…気が向いたらまた相手してやるよ」
「……、」
その後俺たちは、日を空けて二度三度と逢瀬を重ねた。
彼女が泉に連絡をし、俺が泉からその申し出を受ける。
瞳さんの時と違い、今回は泉も容認しているので何の後ろめたさもなかった。
会う時は決まっていつものホテル。
キスから始まり(相変わらず彼女は拒んでいたが)、口と胸で奉仕させ、最後に挿入するというのがお決まりのパターンだ。
それは今夜も変わらないと思っていたのだが…
「来栖さん…今日はご奉仕の前に、一杯飲みませんか?」
「…?」
いつものようにシャワーを浴びてベッドルームへ向かうと、サイドテーブルにはシャンパンボトルとグラスが2つ用意されていた。
特に断る理由も無かった俺はその言葉に頷き、彼女と乾杯をしてからグラスに口を付ける。
「お前、酒飲めたんだな」
「嗜む程度ですが…」
普段はセックスしかしない相手とこうして酒を飲むのは新鮮だ。
(…そう言えば今までコイツとまともな話なんてした事なかったな…)
ふとそんな事を考える。
たまには世間話でも…と口を開こうとした瞬間、不意に視界がぐにゃりと歪んだ。
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