第5章 アクシデントの活かし方(蘭丸BD)/口づけの意味02 〈完〉
夕餉も終わり、部屋で休んでいると
「葵様?ちょっといい?」
「蘭丸くん?うん、どうぞ!」
障子を少し開けて蘭丸君が顔を見せる
「身体はどう?痛いところない?」
「そんなところにいないで、入って?」
「こんな時間に葵様の部屋に入ったって言われると大変だからコッソリ来たんだ」
障子を先ほどより少しだけ開けてスルリと入ってくる
「ふふっそんなこと言う人なんていないから大丈夫だよ」
「そうでもないよ?」
蘭丸君はいたずらが成功したような顔をして笑う
「今はね足がちょっとだけ、痛いかな~
日頃運動不足がたたったね。。。
お恥ずかしい限りです」
「だと思った。だから揉んであげようと思って」
色々持ってきたんだ~と風呂敷包みをかざす
「えっいいよ!大丈夫」
勢いよく首を振って断ると、悲しそうな顔をして首を傾げる
「葵様は俺に触られるのが嫌?」
「ううんそんなことないけど、そんな事まで蘭丸君にしてもらえないよ!」
「信長様にもやってあげたりするから俺上手だよ!葵様を楽にしてあげたいんだ。やっぱり嫌なの?」
悲しそうな顔で上目遣いにお願いされると…嫌と言えなくなってしまう
「じゃ、ちょっとだけ…」
「やったぁ!」
「ふふっ蘭丸君ありがとう」
蘭丸君は嬉しそうにごそごそと風呂敷を開いて綺麗な瓶を取り出す
「実はね、城下で人気の香油を貰ったんだよ
とってもいい香りだから、葵様にも楽しんでいただきたいって思ってたんだ」
「香油?」
「花とか木を漬け込んで香りを油に移したものなんだって
この香油は疲労回復に効果があるらしい」
現代でいうアロママッサージをしてくれるってことなのかな?
「じゃあお願いします!」
「はーい。まず、腕を出して?肘の上はさすがに触れないから、肘下を揉んでいくね」
「うん」