第6章 【番外編】マツノトクエスト 第五章
「ねぇねぇ、二人共聞いて! 私レベルUPし………」
嬉々として勢いをつけて部屋の扉を開く。
だがしかし肝心の二人は部屋にはいなかった。
湯に浸かっている時間もそんなに長くないハズだと思うと一気に怪しく疑わしい気持ちが沸いてくる。
おそ松とカラ松が置いて行った荷物を調べ上げると、先ほどモンスターが落としたアイテムが一切ない事を確認する。
……アイツら、金ないとか言ってアイテム売りに行きやがったな!
しかもこれまた悲しい事に長い付き合いでもある私はアイツらがどこに向かったのか見当がついていた。
そう、先程おそ松が言っていたお姉ちゃん達の所に行ったっぽい。
「許せん!! 金あるなら私のこの装備なんとかしたいんだけどぉぉ純潔の乙女とか言われてこの恰好ってDOなのさ」
だが所詮ファンタジー世界、地理なと知らないしどこを探せばいいかわからない。
しょんぼりしたまま部屋のベットに寝転がり、自分の武器のハリセンを掲げる。
どこかしら違和感を覚え、折り返しをよくよく見るといつ刻まれたのか、ハリセンの間にある文字が気になる。
前はこんなのなかったハズ、なかったハズだよなぁ。
んと、なんて書いてあるんだろう。
さすがに文字は読めるらしく、隙間に書かれた文字を読んでみる。
「光の故郷より来たりし神々しき者たちよ、我に力を与えたまえ? 今ここに契約者……ナス子が命ず、る?」
たどたどしく文字を口に出してみる、これって文字的に何かの召喚にありそうな文面ではあるけ……
━━━━━━━━━カッ!!
「うわ、眩しっ!!」
【 ナス子 は 召喚魔法を覚えた 】
「ぼぇー?! まままままマジか! マジで召喚?!」
しゅうしゅうと神々しく光る煙とその中の物体に、一瞬目をやられてしまい私は目を潰されそうになるが、なんとか細い目をしてその場に目を向ける。
感覚的には太陽を見た後のあのチカチカ感覚に近いだろう。