第36章 第三十五章
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「姫!?」
「そう、ホエホエ王国の姫」
二人で廊下を歩き皆を探しながら、一松が情報を提供してくれる。
これはもう完全に信用しちゃってもよさそうかな。
途中部屋がいくつかあったが、中を見てももぬけの殻で皆は未だに見つかっていない。
まったく、どこに行ってしまったのか。
とりあえず聴けることは聞いておこうと私は一松に耳を貸す。
「その姫がこの館に囚われてるって言うの?」
「その通り、俺も詳しい事までは知らないけど本部でそう聞いたんだよね」
またホエホエ王国かぁ、縁があるなぁ。
盗賊クエストの時に密偵さんに会って、そのあと盗賊討伐の感謝の手紙をもらったんだった。
謝礼金の国の……あ、ダメだ。思い出しただけで顔がちょっとニヤける!
お姫様が拐われたっていうのにニヤニヤしてたらダメだああああ。
あ、ちなみに一松のいう本部っていうのは魔王軍の本部の事ね。
「なるほど、ならそのお姫様も助けなきゃね!」
「でたでたナス子のおせっかい」
「そ、そうじゃなくて勇者達のメンバーとして放ってはおけないでしょ?」
べ、べべべ別に謝礼金が増えるかもとか期待してないから!
でもちょっとだけ……あぁ、皆の事もうクソとか言えないーっ。
「?なに壁にうな垂れてんの」
「いやぁ、なんでもないなんでもない……あはは、あははは」
ふぅ、危ない危ない。私のクソさが見えてしまうところだった。
「つ、次はこの部屋開けてみよう」
________ガチャ