第31章 第三十話
【勇者一行 は 癒しの泉 に到着した】
散々昇ってきただけあって、息も上がっている私。
持ってきた水筒の中身を思いっきりあおって大きく息をつく。
どうせここの水また汲んでいくし構わないよね。
頑張って昇ってきた甲斐があると言うか、私がこのゲームの中でみたチョロ松が出現した泉やセイレーンがいた泉ともまた違って、すっっごく………えっと、なんていうかすっっごくすごい。
語彙力なんて所詮ない私の感想なんてこんなもんなのが残念でならないけど。
例えばこれが夜なら妖精とかいてもおかしくないんじゃないの?!ってくらいに、きらきらしてて、エフェクト?なのかな……光がフヨフヨとういている。
触れても何ともない所か、ホワっとあったかくて身体が元気になる感じ。
見た感じモンスターでもなさそうなので安心安心。
宿のマスター達から聞いた場所だしもっと人が多いと思ったけど、今日は旅人は人っ子一人いない様子で私達も遠慮なく対盗賊戦の疲れを癒せるという事だ。
「俺いっちばーーーーん!!」
「あ、ズルイぞおそ松。俺も」
「僕も、MP回復しておかなきゃ」
「この泉なめらかだし肌にもいいかも~」
幼馴染だからなの?女の私がいるって言うのに前は見せなかったけど急に脱ぎ出してどんどん泉に入っていってしまう勇者一行。
ザブーーーーン!!!!
なんてしぶきまで飛ばして顔にかかったっつのぉ。
「っぶ、冷た!皆ズルくない!? あ、ていうかその前に瓶に回復薬入れたかったのに松印の回復薬みたいになっちゃうじゃん」
松兄弟が付け込まれた回復薬なんて誰も飲みたくはないだろうなぁ。
少なくとも私はごめんこうむりたい。
「あ~、ナス子それいいね!それでここの水売りさばこうぜぇ、んなはははははは」
「おお、いいなそれ!そうすれば旅の資金も増えるし」
「僕達がそんなに働かなくても借金も返せるし」
「下手したらぼく達が有名になれるチャーンス♪」
裸の四人が上機嫌に騒いでいるが、そうだそうだ。
借金の話はチョロ松にはクエストの帰りに話したんだよ。
最初は自分の所為でとか落ち込んでた癖に、最終的には十四松に払わせればいっかと皆と同じ意見に乗り換えてたんだけど……。