第4章 【番外編】マツノトクエスト 第三章
そう名前を呼ぼうとした途端、空から何かがキラリと光り、気づくとおそ松が私の身体を庇って一緒に地面に倒れていた。
「残念、外してしまったか……フーン、今俺の名を呼んだカラ松ガールは……お前か?」
「っぶねぇ、大丈夫か??」
上体を起こして見ると、どうやら空から降ってきた相手は私が今口に出そうとしていた人物であるカラ松のようだった。
庇ってくれたおそ松にお礼を言うのも忘れ、唖然とその姿を見てしまう。
しかしやはり恰好も違えば、きっとこれはカラ松でありカラ松ではない、何故なら……カラ松は私に攻撃など絶対に仕掛けてこないからだ。
着地点には蹴り技が刺さったのか、穴が少し空いている。
もし攻撃を食らっていたら、レベル1の私では一溜りもないだろう。
良かった、死んだら棺桶入りになる所だった。
「おい! お前急に飛び掛かってきてなんだよっ、怪我すんだろ!」
「ノンノン、怪我をさせようと思って攻撃を仕掛けたのだから怪我をするのは当たり前だろう? アンダスタァ~ン?」
うんうん、絶対そうだ━━━━━━━━━━これはカラ松だ。
恰好は初めて見る姿で、頭には長く青いハチマキ、破れたベストだけ羽織り袖口には中二病っぽい羽がついていてその下は裸。
腹部と腕、足首には包帯だかサラシだか知らないけどなんか巻いてるし、青いリボンで腰を止めて黒ズボンの下の方には青い炎の模様がキラキラ輝くスパンコールのようにも見える。
ていうか裸足で攻撃してきたのか……痛くなかったのかな。
いや、イタイのはコイツの存在と装備か。
相変わらずのグラサンは健在のようだ。
そしてこの変な言い回しをしてくる相手と言えばコイツくらいなものだ。
残念な事に、おそらくおそ松と同じで記憶がないっぽい。
しかし不思議なのは、何故私達を襲ってきたかという事。
「カ、カラ松!! やっと会えたと思ったのに………」
「ん~? そこのガールは俺に会いたかったのか……見知らぬ女性さえ魅了してしまうとは……俺はなんて罪なギルトガイ、しかも相手は伝説の勇者のパーティにいるレディ、定められた運命には逆らえないのか……どうして俺はこうも人を傷つけてしまう……フッ、これか、ハリネズミのジレン」