第19章 【番外編】マツノトクエスト 第十八章
本当はチョロ松の記憶を先に戻そうとしていたのに攫われちゃうしなアイツ。
というか何で十四松がチョロ松を攫ったのかわからない。
記憶もあるのに、行かなきゃいけないって言ってたし、何か訳アリだろうか。
それに一松も関係してたりして。
一緒に居てくれるなら探す手間も省けるしコチラとしてもありがたいんだけどなぁ。
敵なのか味方なのかが一番気になる所だと考えながら歩いていると、お月様の光が注ぎ、キラキラと水面が輝く透明度の高い湖へと到着する。
「地図……見てないけど着いたぞ」
なるほど、逆に何も考えない方が到着するのね? 逆にね。
━━━━━━━━━━パシャ
『~♪』
あ、これは……セイレーンの歌声?
湖の近場にある木陰に隠れて宿で貸された耳栓を装着する。
セイレーンの歌声は魅了や睡眠効果がある。
もし聞いてしまえば立ちどころに魅了されるか寝てしまい、湖の底に引き込まれて冒険者は死に至るとの事。
いやぁ、セイレーンもRPGゲームではあるあるですなぁ。
木の陰から先に見学しようと顔を覗かせると、これまたキラキラと人魚のような尻尾の鱗を輝かせ、月を見て歌う長髪に耳がエラのような水色で透明、そんな美しいセイレーンが一匹水面から顔を覗かせていた。
歌声だけでなく、その姿に思わず見惚れてしまう。
モンスターでも綺麗なモンスターっているもんなぁ。
この世界に来て綺麗って思ったモンスターに出会ったのは初めてかもしれない。
そう思うと、倒す事にちょっと躊躇しそうになる。
ヨリミチガイコツはあんなにスラスラ倒してた私だったがね。
偏見ってありますね、本当に。