第18章 【番外編】マツノトクエスト 第十七章
「なにこの本?」
「ああ、これ? この世界のファッション雑誌だよ。下の階でお好きにどうぞって本棚に書いてあったから借りてきちゃった~。こういう世界でもお洒落コーデってあるんだね? 姉さんなんて全身キノコ装備なのに」
「まるで全身タイツみたいな言い回しをやめてくれ」
「まぁ、姉さんにしてはちゃんと用途揃ってるっていうの? 統一性もあるし今回ばかりはその装備似合ってると思うよ? 現実でももう少し成長出来たらいいよねぇ」
「はっはっは、善処します~」
━━━━━━━━━━ドゴォオオオオオオオオオン
二人でなんとない会話をしてカラ松を待っていた私達であったが、突然宿に大きな振動が起こり、建物が揺れる。
天井からパラパラと砂が落ちてきて、突如トド松が上に被さり庇ってくれたが、特に他に何か起こる気配はなかった。
「な、なになに今の音?!」
「わ、わかんない! でも音が近いって事はもしかして━━━━━」
二人で急いで脱いでいた旅立ち装備に着替え直し、隣の部屋の壁を見る。
何が起こるかわからないからちゃんと武器も装備して。
勢いよく自分達の部屋を開けて、隣の部屋の鍵も運よく開けっ放しだったのでそのまま扉を開ける。
何事かと他の宿泊客も飛び出して来て、どこから騒ぎが起こっているのか宿の外に出たり部屋を探したりと大騒ぎになった。
「3人共!! どうしたの、大丈夫?!」
「あ、お前ら起きてたんだな。なんだよ、誰だよコイツ」
「……壁に大穴開けられて大丈夫な訳ないだろ、それよりコイツは……っ」
「まさか、こんな形で再開を果たすとは……さすがの俺もインパクトにやられたぜ……しかしやっと会えたな」
3人の部屋は窓と壁をぶち破られたようで、穴が開いていて、多分突然の印象に残るような破壊訪問を受け、尻もちをついている。
全員がその壁と窓を突き破った人物を唖然と見ていた。
「「「十四松(兄さん)!!」」」
記憶のある私達3人は口を揃えてその名を叫んだ。
「ハイ! 十四松です!!」
【 十四松 が 現れた 】