第14章 【番外編】マツノトクエスト 第十三章
「ナス子、ナス子」
まだ空も暗く、他のメンバーがグースカとイビキをかいて眠る中、体を揺すられ起こされる。
「……ん? なに、トド松……まだ夜だよ?」
起き上がり、まだ眠い目を擦って大きな欠伸をついてしまうが、トド松はションボリした顔でコチラを見ている。
「トイレ」
「…………なるほど。うん、わかった……いや! 外なんだし一人で行きなよ!」
「だ、だだだだって! ってかね、外だからこそ余計に怖いんだよ!」
やっぱりトイレに起こされるのか。
記憶さえ戻ればこの役目はきっとチョロ松が引き受けてくれると言うのに、何故パーティ唯一の女の私が付き添わねばならぬのだ。
「も~、怖がり! ドライモンスターの癖に怖がりなんだからぁ」
「ナニそのドライモンスターって、可愛い可愛いトッティを捕まえておいてひっどいなぁ」
「はいはい、行きますよー」
仕方なく立ち上がって、少し遠めの人目のつかない場所に二人で移動していくも、やはり宿の時と同じでトド松が私の背中にピットリとくっついてくる。
歩きにくい事この上ない。
「じゃあ、私ここで待ってるからそっちの茂みでしてきて」
「うん、ありがとっ」
さすがに大じゃないよな、と考えながらその場に体育座りをして待つ。
その予想通り小だけ済ませたらしいトド松はすぐに戻って来ると何故か戻るのではなく私の隣に同じポーズで座った。