第13章 【番外編】マツノトクエスト 第十二章
ダンジョンの外を出て外れた道から元の道に戻る私達。
道中のザコなモンスターにデビルダヨーン、チョロ松と考えると、今日はよく戦ったんじゃないだろうか。
いつまでもカラ松に背負って貰うのも悪いし、私をヤギのように扱って口の中にMP薬を放り込んで来るおそ松も邪魔なので、まだまだ心配するカラ松・おそ松を余所にやっと体を下ろしてもらい、薬草地獄からも解放してもらう。
「どんだけ回復させてんのさ! もう既にまんぱんで胃の中薬草だらけだよ!」
「いや、差し出すと食べるからつい面白くってぇ」
「そんな勿体ない事しないでよね、勇者。 僕だって賢者なんだからMP薬は使うし、ちゃんと後々の事を考えて残しておいてよ」
そうだ、チョロ松の職業と服装よくよくまだ見てなかったっけ。
今の発言からするに職業は【賢者】
ジロジロと見る私の視線が落ち着かないのかチョロ松には顔を逸らされてしまうのだが、私は構わずその服装を観察する。
「ねぇねぇ、この杖魔法出るの?」
「え、普通に出るけど」
「…………シコ松の癖にっっ」
「シコ松?! 誰の事だよ!!」
私がなりたかった魔法職にチョロ松がなった。
それだけでも腹立たしいし憎たらしい。
シコ松と呼ばれ、周りの3人が最初は笑わないよう堪えていたが、我慢できずに噴き出すとドっとその場の雰囲気が明るくなる。
あぁ、ごめんシコ……じゃなかったチョロ松。
皆の記憶なかったから今私が呼んだ事であだ名ついちゃったようなもんだね……。
【 賢者チョロ松 は シコ松 の 称号 を 手に入れた 】
「いや……あの、スマン。まさかゲームにまで認識されるとは」
「ゲームとか何言ってるかわかんないけど最悪な称号をありがとう。 ったく、常識的に考えて乙女がシコとか口走る事じゃないからっ」
ワナワナと体を怒りで震わせているチョロ松だが、私が女だからかさすがに突っ込んできても手は飛んでこなかった。