第5章 濡羽色(ぬればいろ)
特にこれと言った話も、ほぼ毎日会ってるからしてないけど、自然と話題は健康のことに集中して。
時間も経って酔っ払ってくると、愚痴に近い不健康自慢が飛び出してくる。
やっぱり若い頃とは違って、体調崩すと放っておいても治らなくなってきたし、体のメンテナンスをキチンとしてないと無理が次の日に響く。
だから、最近じゃみんな、整体に通ったりしてメンテナンスを欠かさない。
「でも、大野さんは整体とかだめだよね…どうすんの?」
「いや、俺…別に何も…」
「お風呂も長く入れないから、温泉もだめだよねえ?」
「温泉は…露天だったらちょっと長く入れる」
「俺、揉んでやろうか?」
潤くんがふざけて大野さんの肩を握った。
「やめろっ…」
「わっ…」
そんなに力も入ってなさそうだったのに…
大野さんは全力で潤くんの手を振り払った。
「え…?」
「ちょっと、どうしたのよ」
ただならぬ雰囲気に、思わず俺は立ち上がった。
「どうしたの。痛かったの?」
「潤、手ぇ大丈夫?」
翔ちゃんが潤くんの振り払われた手を握った。
「…大野さん…?」
顔が、真っ青で…
振り払った自分の手を握りしめて、大野さんのほうがびっくりした顔をしてる。
「ちょっと、どうしたのよ」
「…なんでもない…」