第31章 春待ちて氷柱落つー後ー(秀吉)
「ついてきて下さい」
「三成様⁉︎」
「大丈夫ですよ」
門兵の静止も爽やかに笑って躱した。
ついて歩くと
「お貸しください。私がお持ちします」
「えっ?あっ!」
枝の束を取り上げられた。
「すみません…」
頭を下げながらも、似合うな…と思ってしまった私は邪だ。
「いいえ」
三成様の溶けるような美貌の笑顔は心の臓に悪い。
私は、紫の瞳で泣き黒子のある美男を正面から見れなくて、自分でもわかるほど真っ赤になって下を向いた。
「秀吉様は城内修繕の箇所を確認されているので……この辺りに……」
私は親切な三成様の後について歩いた。
俺は南側の城壁を見回り終えた。
「ん?」
(三成の後について歩くのは、華月?)
遠目からでもわかるほど、華月は照れている。
(顔、真っ赤じゃないか)
何故、照れながら三成の後を歩くのか。
どうしてあんなに照れるのか。
何をしに城に来たのかよりも先にその事が気になった。