第3章 *「怖い先輩」の段*
_くのたま長屋
「ふぁぁぁ……おはよぉ百合〜……」
百合と同室であるアカネは眠そう目をこすりながら顔洗い場へやってきた。
すでに百合は顔を洗い終わっており、部屋に戻り制服に着替えるところだった。
「遅い……ホント貴女は朝に弱いわね……」
「百合の方が早すぎるんだってばぁ!
いっつも卯の刻には起きてるしさ……」
口を尖らせながら言うアカネ。
ちなみに卯の刻とは現代で言う「早朝5時〜6時」を指している。
百合は大抵朝の5時くらいには目を覚ましている。
「強い忍になるなら、これくらい当然よ。
早く起きれば、自習だってできるしね。」
「まぁ……五年にあがってから実践多くなって学園にいないこと多いもんねー(苦笑)
今日は何の自習?」
アカネは水で顔を洗いながら言う。
「トモミと一緒に空手。」
「空手かー……トモミ、あの歳で空手の達人だもんね(笑)
まぁ頑張って!」
「えぇ……それじゃ、私はそろそろ行くわね。」
「はーい。」
そして百合は桶とタオルを持って部屋に戻って行くのだった。