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裏『探偵』αな女がΩの男達に求愛される話。

第20章 運命の番(過去編)3.5


ソファーに腰掛けていた全員がピクリと小さく反応し、寝室のほうへと顔を向ける。いち早く立ち上がったのは降谷であり、リビングから寝室へと足を踏み入れようとしており俺たちも気になってしまった為降谷の後に続いた。

覗き見るといった趣味は全員持ち合わせていないが、春枝のことだと気になってしまうというのは事実でついつい聞き耳をたてていた。すると彼女はとんでもないことを口にする。

「先ず“見合い”は洋室?それとも和室?それによってはドレスか着物かを明日までに選んでおいて欲しいかな、メイクアーティストを明日この部屋に呼んでくれると助かります。職場には今から連絡するとしてーー…」

何気なくいった言葉にピシリとその場の全員が凍り付いた。は?見合い?どいつと?なんでだ?俺たちがいるのにか?これ以上番は必要ないだろう?一夫多妻制や一妻多夫制があるのは分かる。だからと言って一体何人の妻や夫を作るつもりなんだと目の前が真っ暗になる。今いる空気が2、3度程下がったように思えた。これ以上春枝が他の相手を口説き迫るわけにはいかねぇ…彼女の魅力に取り憑かれて番を迫る相手はここにいる俺たちだけで十分だ。そう降谷が勢い良くドアを開けて、雪崩込むように春枝の寝室へと入ればポカンと目を丸くさせて小さく口を開けて見下ろす彼女がいた。

「春枝、浮気か!この俺がいながら!」
「春枝ちゃん、捨てないで!俺の嫌なところとか直すから!」
「春枝…俺のこと幸せにするって今言ったばかりだよな!」
「春枝、なにか理由があるんだよな!頼む、そうだといってくれっ!」
「いや先ずさ、ノックくらいしろや」

降谷、萩原、俺、緑川の順番に声を震わせながら荒らげる。眉間にシワを寄せて頭を悩ませた春枝は「後でまたかけ直します」と手短に伝えて直ぐにピッと通話を切った。

ーーー。

「はい、先ずは見合いという名のただの食事会です。相手はαの敏腕女社長で、父とは昔ながらのライバル、母とは古くからの親友であり、Ωの母を二人で取り合った仲でもあります…別にお二人は隠しているわけでもありませんが、男女のαで優秀な社長(両方とも妻子持ち)二人が和室や洋室で密会だなんて…そんなつもりはなくても如何わしく思えませんか?メディアが是非にとも飛び付きたくなるような話です」
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