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裏『探偵』αな女がΩの男達に求愛される話。

第15章 運命の番(過去編)2.5


降谷side。

「私は昔、景光さんに助けられまして…その時の恩返しとして切羽詰まっていた彼を攫いました。まさかNOCバレして逃げていたとは…」
「景光、無関係の彼女に話すのはどうかと思うぞ…」
「誘導尋問が上手かったんだよ…春枝は結構刑事に向いているかも知れないな」
「関心している場合じゃないだろう」

景光の言葉に、春枝は嬉しそうに笑って紅茶に口を付ける。俺も呆れたように景光が作ったとされる珈琲へと口付けた。あっ…美味い。いや…それよりもだ。先ずは彼女に感謝しなければいけない。理由はどうあれ彼女は景光の恩人だ。あの時、彼女に会いたくはないと声を荒らげる景光がいたことを未だに覚えているが、余り深く考えないようにしていた。しかし聞く限りでは春枝の初恋は景光で、景光の初恋は春枝だったという事実は悔しいし悲しくもなる。俺は春枝の初めての番候補で、誰よりも彼女のことを理解しているつもりだった。だが俺から彼女の傍を離れたので、今更俺の運命だとは言えないのが苦しい。それに景光は俺の幼馴染で親友だというのに、好きになる相手が同じで俺を想って、その恋心を隠されていたということが辛かった。

モヤモヤとすっきりしない俺は深々と頭を下げる。助けてくれてありがとう、感謝してもしきれない。と真っ直ぐ春枝を見た。しかし俺を見る彼女の表情はどこか子供らしく懐かしいように見えて、不貞腐れていた。あぁ…俺が良く知る表情だ。

「零さんの馬鹿…私の番になると仰ったのに、いなくなって連絡すら取れなくなって」
「!っ、すまない…」
「もう逃がしません。景光さんも零さんも私の番です…私が幸せにします」

だから、覚悟して下さいね?公安のお姫様方?とうっそり笑った春枝はとても色っぽくて、知っているのに知らない女性に見えたため色んな意味でドキドキした。

ーーー。

春枝はもし良ければ一緒に住みます?と軽々しくにっこりと微笑みつつ景光に伝えていた。景光は目を見開き嬉しそうに頷こうとしていたが、少しは危機感をもってくれと景光をどついた。痛みに耐えながら床へと座り込む景光を真顔で見下ろして、そのまま引きずって行こうかと首根っこを掴む。春枝はそんな俺と景光をあわあわと交互に見ていて、声を掛けようかと迷っているように見えた。
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