第4章 嘘つきは恋人の始まり
「サト」
智さんの事を、優しい瞳で茂子さんが見つめる
「櫻井さんはアンタの事ちゃんと愛してるよ
嘘から始まった事だって、櫻井さんはそれに気付いてないわけちゃうやろ
アンタの想いをちゃんと汲んでくれたんや
アンタは愛されてるんよ、サト」
「ママ…」
「信じる所から始めよな」
茂子ママの言葉が
ゆっくりと智さんの心に浸透していくのがわかった
「カズくん」
「はい、」
「この子、変なとこ卑屈やし
頑固で面倒臭いとこもあったりするけどな
ええ子やし、一番近くで見守ったってな」
「…はい、」
一番、近くで。
「頼むで、弟くん」
大丈夫だよ、智さん
翔さんはちゃんと貴方を愛してるよ
それに、ね
茂子ママだって
俺だってさ