第33章 今日からまた始めよう*宮地*
気付かれた。
吹き飛んだ理性が一気に戻り、から体を離した。
とりあえずどう思われていようと、今の行動は間違っていた。
彼女でもない「幼なじみ」にキスをしようとしたのだから。
「…悪い。」
恥ずかしさと申し訳なさでの方を見ることが出来なかった。
「…キスした?」
「してねぇよ。…未遂。」
その会話からしばらく音が途切れて、ただただ沈黙が流れる。
いつも居心地が良い空気が、重く苦しい物に変わっていた。
…あんなことしなければよかった。
黙って「幼なじみ」でいればよかった。
「忘れてくれ」と言おうと意を決した時。
「…してくれてよかったのに。」
思いもしなかった言葉に驚き、さっきまで見られなかったの方に顔を向けた。
「…何でだよ。」
「じゃあ逆に聞くけど…どうしてキスしようとしたの?」
もう隠し切れない。
想いが伝わる確率がさっきのの言葉で急激に高くなった。
今しかない。
「…ずっとお前が好きだったからだ。」