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黒子のバスケ*Short Stories3

第31章 サクラサク*宮地*


本当に10分経ったら、インターホンの音が鳴り響いた。

カメラで確認すれば、そこに映っていたのはやっぱり先輩だった。

「今行きますね」と伝えて、扉をゆっくりと開くと、太陽の光を背にした先輩が立っていた。

「せんぱ…」

またしても言い終わる前に言葉を塞がれてしまった。

何故なら身体をぎゅっと抱き寄せられて、私の顔は先輩の胸に沈められてしまったから。

戸惑いながらも少しの間、心地よい体温と服から香る柔軟剤らしき香りにすっかり身を委ねてしまっていた。

「。」

沈黙を破るように先輩が私の名前を呼んだので、20cmちょっと上にある瞳を見つめようと上を見上げた。

「受験頑張ったな。…おめでとう!」

ふわりと頭に先輩の手が置かれて、わしゃわしゃと頭を撫でてくれた。

先輩に撫でられるのが好きだから、これだけで顔が熱くなってしまった。

「ありがとうございます!…先輩が側で支えてくれたから、私頑張れたんですよ?」

「清志先輩と同じ大学に行きたいです」と伝えた時、本当に嬉しそうに満開の笑みを見せてくれた。

自分の受験は終わっているのに、私がお願いすれば一緒に図書館に行って勉強を教えてくれた。

不安で心が押し潰されそうな時、先輩に電話して声を聞くと安心できた。

ぶっきらぼうながらも励ましてくれた言葉は、私にとって受験のためへの原動力になった。

「お前の努力が100%報われるなんて言い切れねぇけど、どんな結果になっても無駄じゃねぇんだよ。あとは自分のこと信じろ。俺はお前が合格するって信じてるから。」

先輩がいなかったら、私は頑張れなかった。
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