第3章 手と手を繋いで/視点違い
(チュンチュン…
チュン…チチチ………)
「莉菜ー」
「………ん…」
「莉菜、起きてるか」
「はぁーーーい……」
「入るぞ?」
「はぁーーーい……」
シャッ!という音と共に、襖を全開にされる。
「莉菜、いつまで寝てるんだ!」
「ッ…!?さす…っ!」
眩しい光を感じて目を開くと
部屋の入り口で、秀吉さんが朝の太陽をバックに仁王立ちしていた。
「さす…じゃない、秀吉さん!お、おはようございます」
「おはよう。もうとっくに朝餉の時間だぞ?皆を待たせてどうする」
「えっ!」
「信長様が、お前が揃うまで食事を待つと仰ってるんだ」
「嘘っ」
そっか、今日は全武将が城に集まってるんだ!
先に食べてくれて全然いいのに… と一瞬 頭をよぎるも、寝坊した自分が悪いので黙っておく。
「とにかく、早く用意して広間に来なさい」
「はい… ごめんなさい……」
もぞもぞと布団から出て、着替えの準備を始めた。
こんな時ジャージがあればサッと着られて便利なのにな。
着物やら帯やらを手に取って衝立の後ろに入ろうとした時。
「ところで莉菜」
「…はい?」
「さっきの『さす』って一体何だ?」
「っ!」