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イケメン戦国【秘密の花園】

第2章 手と手を繋いで




安土に着いたのは すっかり夜も深まった頃だった。


息を整えてから、城へと侵入する。

警備兵の目を難なくかいくぐり、最短ルートで天井裏へ…ーーー


…ここだ。


無事、莉菜さんの部屋の上へと到着した。


「莉菜さん」


………


声をかけてしばらく待つ。

…が、気配はあるのにいつまで経っても返事はなく、しんとしたままだ。


そこでハタと気付く。

今 何時だろう。

もしかすると、日付けが変わるくらいかもしれない。


電気もテレビもケータイも無い時代の就寝時間が早いのは当たり前だ。

この状況から考えて、莉菜さんが起きている可能性は……


「…っ」


突如、何かに のしかかられたような疲労感に襲われた。


俺としたことが。

時間にも配慮しておくべきだった……




………

………




帰ろう………




はぁ、と小さく息をついて身体の向きを変えようと動き出す。

でもさっきまでとは一転、恐ろしく身体が重い。


く…

何でこんなに重いんだ。

顔さえ見られれば元気100倍なのに…


顔さえ……

顔……

……



突然だけど、莉菜さんの寝顔って どんななんだろう。

笑った顔も勿論いいけど、寝顔もすごく可愛いんだろうな。


この天井板を外して中を覗けば…


…いや、だめだ。


寝ている友人女性の部屋を黙って覗くなんて流石にそれはまずい。

明らかに変態、それどころか犯罪だ。


ここまで来て引き返すのは かなり辛いものがあるけど、変な気を起こす前に早いところ帰らなければ……


…と言いつつ、さっきから足が全く動かない。


疲れのせいか?

違うな…それだけじゃない。

迷ってるからだ。


よく漫画とかで頭の中に天使と悪魔がいる描写があったりするけど、まさにこういう状態のことなんだろう。

寝顔を見たい自分とそれを止める自分とが せめぎ合っている。


これはもう、自分の意思ではどうにもならない気がしてきた。


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