第8章 曖昧な関係
「ど…どうしたんですか…突然
もしかして…酔ってるんですか!?」
言われ慣れない"かわいい"の言葉に
飲んでいたお酒をテーブルに起き
驚いてすばるくんの顔をまじまじと覗きこむと
すばるくんはそんな私の目を見つめて
「酔うほどまだのんでないわ笑
お前はほんまに…
無防備やし
隙あらば好きとか言うんも
無意識なんかあざといかよう分からんなぁ笑?」
そう言うと
私のほっぺたに手のひらで触れる
こ…これは…まさか…?
き…き…キス…の流れでは…!?
どくんどくんと慌てふためく心臓に
必死に安静を呼びかけていたら
「すばる…?」
そう名前を呼ぶ声に
触れていた手は簡単に離れて
「久しぶりだね?」
そう言ってすばるくんの肩に置かれた手の先には
私なんかじゃ到底敵わない
大人に綺麗な女の人が笑顔で立っていて
その人は私なんか目に入らないかのように
すばるくんの隣に座って
親しげに話し始める…
初めて訪れた少し甘い雰囲気を
完全にかき消されて
仕方なく目の前のお酒に手を伸ばし
ちびちびと飲み進めてみたものの
さっきまで美味しいと感じていたはずなのに
今はなぜか甘いのか苦いのかさえ分からない…
1人お酒を飲んでいると
なんだかここにいる自分が
場違いな気がして
すごく居心地が悪くて
「あの…私ちょっとお手洗いに…」
そう言って
2人の側から
足早に洗面所に逃げ込んだ…