第15章 白昼夢幻想曲4(烏養繋心)
早朝の空気が瑞々しくひんやりしている。
公園で缶のミルクティーを買って、横並びで飲んだ。
彼はいつもと同じように一服すると、清々しそうなのびをする。
また我が儘を言って困らせてしまったと、若干後悔した。
「ごめんなさい…」
「いや」
ぶっきらぼうだけど、気にしないで欲しいとその一言につめてくれる優しさが嬉しい。
我慢しきれずにぎゅっと腰に腕を回した。
「次は学校で会おうな?」
「うん…」
もう一本に火を付け、私はそれを下から覗きこむように見ていた。
「やっぱ、不安か?」
「……あ、えっと…」
顔に出てしまったかと少し反省する。
「年齢や経験の差で、埋まらない距離があるせいです…。
私は……人と関わるのが極端に苦手だから、余計に」
「それがの個性だから、いいんじゃねえの?」
「……」
個性。
ああ、なるほど。
なんて、いい言い方してくれたんだろ。
「お前の個性に対して、重いも軽いも感じたことはねえよ。
ただ、また死のうとか消えたいとか、そういうこと思ったんなら言え。
駆け付けて、全力で抱いてやる」
「…っ!!」
その場で踞って顔を隠す。
恥ずかしいのと嬉しいのと泣きそうなのと、人に見せられる顔じゃないのは確か。
「照れんなよ、こっちもそれしかもう言いようがねえんだよ」
「…だって、嬉しい…っ」
「へーへー」
直接的な言葉を言わなくても、伝えることって出来るって感動した。
私も、そういうこと言えたらよかったのに。
「好きになって、よかったです……」