第4章 天泣
だから、雅紀はそんな俺を羨ましがった。
「ニノ~、何話してたの?今日、翔くんと」
「何って、別に~、大したことじゃないよ…」
「いいな~、翔くんと普通に話せて!」
「じゃ、相葉くんも話せばいいじゃん…」
「だって、何話したらいいか分かんないんだもん!!」
……なんだよ、それ…
素直に翔ちゃんへの憧れを口にする雅紀…
今でこそ太陽みたいに明るくて、何にでも積極的で一生懸命な雅紀…
でもジュニアの頃は、どちらかといえば俺の陰に隠れているような、人見知りで。
だけど、俺は知ってたんだ。
陰日向が無くて、誰にでも優しくて、正義感が強い…
そんな雅紀が、俺は…俺には眩しかった。
頭がよくて、みんなが一目置くカリスマ、櫻井翔。
そんな彼を、雅紀が憧れ以上の気持ちで見ていたこと…俺は気付いていた。
そして、ジャニーさんの気まぐれか、神様のいたずらか。
翔くんと雅紀と俺は同じグループでデビユーすることになった。
複雑な気持ちを押し込めて、与えられた仕事をする毎日…
雅紀は俺に告白してきた。
『好きだった』って…
『付き合ってください』って…
嘘だろ?翔ちゃんじゃなくていいの?
ヤダよ~、お前なんか。
無理!俺、面食いだから。
なんて、雅紀からも自分からも逃げていたのに…
いつの間にか、恋人同士になっていた。
当たり前に肌を重ねるようになっていた。
逃げ通せるはずなんかなかった。
だって俺、ずっと彼が好きだったんだから…
他の3人にも、堂々と付き合ってることを宣言した雅紀…
そうして、俺たちは今まで一緒にいるのが当たり前になっていった。
それは、今までも、この先も、変わらないって信じていたのに…
それなのに……
何で今更、翔ちゃんなんだよ??