第8章 S&N
俺たちの関係が変わったのは、最初の出会いから数ヶ月後のことだった
いつもより遅い時間にやってきた彼は少しフラついてて
大丈夫?と声をかけたら大丈夫だとは答えるけど、顔も少し赤いし、絶対大丈夫じゃないよね
包みを、渡すのにちょっと触れた手が熱かったから、無理矢理奥の仮眠スペースに引っ張っていって寝かせた
このまま帰らせたら、倒れてしまいそうだったから
閉店時間になり、あちこち片付けて、いまさらながら翔さんをどうしようか悩む
俺は店に泊まることも珍しくないからこのままいても平気だけど、翔さんは家の人に心配されてしまうのではないか
せっかく休めているのに起こすのは気が引けるけど、連絡だけはしてもらったほうが良いだろう
「翔さん、起きて、家に連絡した方がいいよ」
「……ん~……大丈夫……あの人たちは心配なんかしないから」