第10章 back again〜SNJ〜2
(お願い…ウソでもいいから…側に、いて。今まで通りで、いいから。2番目でいいから…翔さんより愛してなんて、望まないから)
(潤くんがいないと…息の仕方すら、忘れそうなんだ。好きだから…潤くんが…大好きだから…)
そう言って泣いたニノは…
それでも俺のために…結局翔君への想いを捨てきれない俺を、俺以上に分かって、こんな芝居を打ってくれた。
そこまで俺を想ってくれるニノの愛の深さを改めて感じて…
「カズが、好き」
「……ありがと、潤くん」
俺の返事に泣きそうな顔で笑って、そっと俺の頬に手を添え、愛しそうに撫でてくれる。
「今度は、正直に答えて。翔さんも、好きでしょ」
俺に触れる手も声も優しいままでそう言ったニノの目も、その手や声が嘘じゃないっていうぐらい優しくて…
俺はその問いに、今度こそ頷いた。
この想いを隠してニノの嘘をつく方が、本気で俺に気持ちを向けてくれているニノに、失礼になる。
たとえこの目が俺に向けられなくなろうとも、今の俺の気持ちを…正直に話すから。
「ごめん、カズ……カズと同じぐらい、しょーくんも…好き」
「気を使わなくても、平気。俺が二番って言っても、いいよ」
優しく笑うニノも…
まだ床に手をついたまま、目を見開いてこちらを見ている翔君も…
そんな都合のいい話、ないけど、どっちも、同じぐらい大切で…
好きなんだ。
「ごめんなさい…俺には…どっちも、選べない。二人とも大切で、二人とも、大好きで………酷いのは、俺だ…」
「泣かないで、潤くん。俺は…それでもいいから。言ったでしょ。潤くんの側にいられるなら、俺は何だっていい、って」
まるで幼子に言い聞かせる様な、優しい優しい声で俺にそう言ったニノは、翔君へと向き直った。
「翔さんはどうすんの?俺としては、無理だって言って潤くん諦めてくれたら嬉しいけど?」
「俺は…」
答えに詰まった翔君は、そこに答えが書いてあるとでも言うようにジッと床を見つめている。
翔君には…無理だよ。
自分だけを愛さない俺を受け入れるなんて事。
だからもう、そんな苦しそうな顔、しないで?