第22章 痛いほどの愛
『………ですが何故わざわざそのような事をするのでしょう。』
中也さんは目線を宙へやり頭を後ろ手に組んだ。
中「あァー、其れは太宰に直接聞け。身体ボロボロなンだから今は休むことに専念しろ。」
『はい。ではお言葉に甘えさせて頂きます。』
あからさまに話を誤魔化されたが、疲れからかはたまた貧血からか頭が上手く回らない。
中也さんの云う通り休もうと決めた私は意識を手放すのにそう時間はかからなかった。
寝苦しさを感じて寝返りをうつ。
………否、うとうとしたのだが其れは何かによって阻まれた。
どうにも身体がビクとも動かないのだ。
うっすらと目を開ければ飛び込んできたのは整った顔。
息をするのも忘れる程、思わず見入っていればその綺麗な顔はパチっと目を開ける。
太「見過ぎでしょ。」
気付いていたんですか?
何時から起きていたんですか?
余りにも唐突な出来事に其れらを口に出すことは出来なかった。
太「聞こえてる?」
『………え?あ、はい。』
太「そう。上司を無視とは佳い度胸だ。」
俗に云う腕枕なるものをされていた私をグッと引き寄せお互いの息が掛かる距離まで近付く。
微動だに出来ないのを佳い事に太宰幹部は唇を重ねた。
太「嫌かい?」
『こんな事するのは初めてなので、よく分かりません……。』
太「へぇ、じゃあ分からせてあげよう。」
獲物を狩る眼になった太宰幹部は先程と同じ事を幾度もなく繰り返す。
其れは触れるだけのものであったり啄むものや唇を舐めるものまで。
繰り返される行為の中で私は気付けば太宰幹部の首に腕を回していた。
太「………随分と煽ってくれるね。で、どう?分かった?」
『嫌、じゃないみたいです。どうしましょう。恋仲でも無いのにこんな……』
太「じゃあ恋仲になれば佳い。」
『ですが恋仲とは想い合っている男女が成るものでは?』
太「そうだ。だから問題無い。」
…………は?
如何云う意味か尋ねようとしたが出来なかった。
太宰幹部は私に覆い被さり先程とはまた違う荒々しい口付けを繰り返すした。
口の中まですっかり蹂躙されてしまった私はシャツの釦を外す太宰幹部を見て重要な事を思い出す。