第22章 痛いほどの愛
返事をすれば姿を見せたのは太宰幹部だった。
太「あぁ、起きてたの。」
『鍛錬中に倒れてしまい申し訳ありません。不甲斐ない事この上ないです。』
太「君の意見など聞いていない。…私も賛成だけどね。」
中「ッ!!!手前ェなァ……」
拳を握り勢いよく立ち上がった中也さんの服の裾を慌てて掴む。
『い゛った……!』
中「急に起き上がるンじゃねェ!寝てろ!」
『すみません。』
その一連のやり取りを鋭い目で見ていた太宰幹部は手にしていた書類を寝台の上に乱雑に投げ捨てる。
太「明日の任務内容だ。幸い時間は沢山或るのだから頭に叩き込んでおけ。」
外套を翻し病室を出て行った太宰幹部を追う様にまたな、とだけ告げ中也さんもまた病室を去る。
中「手前は何がしたいンだよ。」
太「何って仕事をさせてるだけだけど?」
中「重症にさせた奴にかァ?」
鋭い目付きで見上げた中也に彼は顔色ひとつ変えずこう答えた。
太「あれくらいで壊れてもらっては困るんだよ。」
止めていた足を再び動かし首領室へ向かったのだった。