第15章 How to A B C & ...!? 前編 A&B
「料理がいっぺんに運ばれてきた……」
「えぇ。二人でゆっくり食べたかったので」
「俺、あのチマチマ持って来られるの苦手なんだよーありがとな、バニーっ!」
僕の邪な気持ちには全く気付いていないのか、嬉しそうに笑う虎徹さん。
「いえ。だって今日は……その……僕達が付き合い始めて一ヶ月の……」
って、
えーーーーっ!!!
虎徹さん、ワインを自分で注いで飲み始めてる!!!
「あ、悪ぃ。旨そうでさー。あ、お前のも注いでやるよっ」
「はは……お願いします」
僕はワイングラスを差し出した。
なんだかスタートから崩れたな。
けど、まだまだここからだ!!!
虎徹さんが注いでくれたワインを少し上に掲げると、優しく僕を見つめる琥珀色の瞳と視線が合った。
「で、何か言ってなかった?今」
「えぇ。僕達、今日で一ヶ月なんですよ。付き合い始めてから」
「へぇ~そ、そうか……」
顔を赤くする虎徹さん。
「はい」
「あ、あのさ……」
「はい」
「横に座ってもいいか?」