第10章 キスだけじゃ、誘えない
私は自分から
もう一度タイガーにキスをした。
タイガーも逃げない。
受け止めてくれている。
今、タイガーの両腕は……
私をギュッ……と強く抱いている……
そして……
私の両手は、タイガーの首に回っている。
どうしよう……
こんな、こんな、キス…………
腰が……足が…………
立っていられない……
私の膝がガクッとして、落ちそうになった。
するとタイガーは、グッと私を支え直してくれた。
「タイガー……」
「違う……」
いつもの呼び名が、口から出ると
タイガーの唇が私の口を塞いだ。
そして、チュッと儚い音をたてて、また唇が離れたとき
「虎徹……さん……」
「あぁ、カリーナ」
いつもの大好きなあのニカッとした笑顔で私の名前を呼ぶと
今度は……
虎徹さんからキスをしてきた。
甘い、甘い……蕩けるような大人のキスを…………
そしてまた、ゆっくりと唇が離れる。
「お前さ、こんなオッサンでいいの?」
つまんない質問をしてくる虎徹さんに
「バカね。こんなオッサンがいいのよ」
そう返事をすると、私は虎徹さんの逞しい胸に抱きついた。
「ははっ……そうか……」
虎徹さんは抱き締め返しながら、笑っている。
その表情は見えない。
けど、きっと真っ赤なハズ。