第9章 虎徹さんの恋人
「なぁ、なんで俺よりキーボード打つの速いの?」
「若さですか?」
「おいっ!」
バニーが俺のデスクのキーボードの上を、ほんとウサギみたいにぴょんぴょんと跳ねては、文字を入力をしていく。
「冗談ですよ。でもトレーニングみたいで楽しいな、これ。身体も軽いし」
そんなもんなのか。俺がこのサイズになった時は、そんなの感じなかった。
唯一の救いが、バニーがずっと傍にいたこと……
いやっ!
なしっ!
今の考えなしっ!
また俺は無意識で頭を横にブンブンと振っていた。
「虎徹さん、どうしたんですか?」
バニーがキョトンとした顔で、キーボードの上から俺を見上げてくる。
うっ!
そ、その顔……
小さくてもバニーは、バニー。
至近距離のハンサムビームが半端ない……
「いや、なんでもねェー」
「?ヘンな虎徹さん」
そう言ってまた、ぴょんぴょんとキーボードの上を跳ねだす。バニー。
「お前、そうやってるとほんとウサギみてーだな」
するとピタッと動きが止まった。
「失礼な。こんなスタイリッシュなウサギがいるわけないでしょう?」
「……」
うん。やっぱりバニーだな……