第4章 平穏な日々に嵐はやってくる~一松~
まさかと思うけどコイツ・・・元からそのつもりでここにミケ子を連れてきたんじゃ。
しかも自分を特別扱いさせようとか思ってたり・・・?
いやー、一松に限ってトド松みたいなあざとい事はしないと思うけど
ゲスい六つ子の一人だったという事を改めて思い出したわ。
「これで、クソ松よりもここに来る回数も増えたね。『一番』は俺。なぁ、ミケ子?」
ミケ子を両手にかかえ優しい笑顔を向けながら私の方を見る時は目を細めてゲス顔である。
こういう所が怖いんだよお前はああぁあああ。
「ま、大丈夫だよ。猫の世話はするけど変な事はしないし、普段通り部屋では大人しくしてるから、さ」
「そうしていただけないと困ります」
いたいけな動物を盾にとられ一松の提案に逆らえなくなった私はシュンと下を向くが、最初の不機嫌一松はどこへやら、ものすごーーーく上機嫌になった。
「そういえばナス子、今日は仕事休みなの?」
「え、あるけど? って今何時?!!」
「夕方の4時半だけど?」
私の部屋の時計を見て一松が応える。
ヤバイっ、顔洗って歯磨いて化粧して着替えなきゃ!ギリギリじゃんっ
「じゃぁ、仕方ないけど一松、ミケ子の事頼んだよ?! 帰りは深夜だからさすがにそこまでは見てられないとは思うけど…夕飯あげてなるべく温かくしてあげたり寝床とか用意してもらっといていい?!あ、これお金。必要なものは買いそろえてくれていいから!」
おそ松と違って一松は猫には本当に優しいから素直にお金を託せられる。
「あざーっす」
私からお金を受け取り軽く頭を下げた。
「はひはへったいににカラまふ意外のむふふぉに渡さない事、いいね?!」
(鍵は絶対にカラ松意外の六つ子に渡さない事、いいね?!)
早速歯を磨きながら日本語にならない声で念押しする。
「へーい」
今度は手短に洗面台で顔を洗いすぐ様一松の見えない所で制服に着替えると急いでコタツの上で化粧をし始める。
適当メイクなのでいつも10分程度で終わる。
その様をミケ子と遊びながら一松が物珍しそうに見ている。