第10章 体育祭の時間。
夏休みが明け、すっかり傷も治り、今日から二学期に入る。
私たちは今、体育祭の種目決めをしている。
私は、二人三脚、男女混合リレー、借り物競争に出る。
学秀は私とペアで二人三脚、男女混合リレーのアンカー、そして棒倒しに出る。
1週間後に迫る体育祭のために練習をする。
学秀『まぁ、まずは右足からだ。』
『せーの!うわっ!』
こけそうになる私を学秀が支える。
『学秀、歩幅が違いすぎるから、私こけちゃうの!もうちょっとだけ私に合わせてよ〜。』
学秀『なるほど。まぁと僕の身長差を考慮していなかった。すまない。』
『私157㎝しかないからねぇ。学秀は175㎝もあるからなぁ。キスするのも大変だよ…。』
学秀『なら、僕がまぁに合わせて屈めばいい。』
『もしくはぁ〜!』そう言ってニヤニヤするまぁは僕の脇腹をくすぐる。
その刺激に体勢を少し崩すと、『スキありぃ〜!チュッ!』
学秀『…………!』
『これなら私からできるねぇ〜!』
イタズラっぽく笑うまぁが可愛くてたまらない。だが………。
学秀『まぁ…。今僕らは足を結んでいることを忘れてはいないか?』
『あっ………。』
学秀『つまり、逃げる事は不可能だ。覚悟はできているんだろうなぁ?』
スルッ、サラッ、ダッシュ!私はマッハで足紐を解きダッシュする。
学秀『ほう…。リレーの練習か。だが僕から逃げきれると思うなよ!待てッ!』
『許してぇ〜!学秀〜!!』
その光景を眺める榊原君や瀬尾君、荒木君、小山君が言う。
榊原『彼らは体育祭の練習をしているんだよな…?』
荒木『あぁ…。ただのイチャつくカップルにしか見えないが。一応は…。』
瀬尾『ってか、浅野君もすっかりまぁちゃんのペースだな。前より雰囲気がやわらかい。』
小山『ギシシシシ。いいじゃねーか!めったに見れるもんじゃない!』
そうしている内に…。
学秀『僕にリレーで勝とうなんざ100年早いな。まぁ』
『はぁ…はぁ…。ってか、リレーって捕まえられるんだっけ…?』
しっかり背後から抱きしめられる私はそう思った。