第10章 強く。
「さぁ、いくか。」
「はい。」
あのあと、またたわいない話をして店をでる。
囲碁の賭けの質問についてなにか聞かれることもなく。
「ところで、信長様は何をしに城下へ?
さっきから私の用事ばかりで、そろそろ信長様の用事を。。」
「城下をこうして見に行くことも仕事のひとつだ。
たまの気晴らしも悪くない。
貴様を連れていくと飽きないからな。
だが、ひとつ重大な任務がある。」
深刻な顔をして信長様がいう。
急にこっちを向かれて顔が近くなり
思わず顔があつくなる。
「なっ!なんですか?!
お手伝いできるならやりますよ!!」
「金平糖だ。」
「え?」
「金平糖を、買いにいく。」
「………それが重要任務ですか?」
「最重要任務だ。また猿のやつに取り上げられた。
あやつ俺の金平糖を隠したところでまたこうやって
買いにいくというのをまだ学習せん。」
あまりの拍子抜けた答えに思わず笑ってしまう。
「ふふふふ、それは信長様を心配されてるんですよ。」
「金平糖を食べようが食べまいが俺はなにもならん。」
「でも食べすぎはよくないです。」
「食べたいときに食べて何が悪い。」
「そーゆーことだから隠されるんですよ。」
「あの猿め。。。」
「ふふふふ」
いつも魔王だの鬼だのと恐がられているのに
こういうところをみるとほんとに、かわいいと思う。
「ほらいくぞ。」
「あっ、はい。」
ぐいっと手をとられまた赤くなってしまっているのが
わかる気がする。
このあと無事最重要任務だった金平糖を買い、
安土城に帰った。