【ハイキュー】駒鳥が啼く頃、鐘は鳴る【木兎&赤葦】
第5章 菊合
「黒尾鉄朗・・・」
光太郎の幼馴染であり、学友。
もしかしたらこの世界で、日美子の名誉を守ることができるのは彼だけかもしれない。
それは分かっているが・・・
「光太郎さんは黒尾さんとあまり親しくすべきではないと思います」
「お前、いつもそれを言うな」
「・・・・・・・・・・・・」
西洋では不吉の象徴と言われている、黒猫のような男。
黒尾さえいなければ、運命の歯車はこれほどまでに狂ってはいなかったかもしれない───
「黒尾はお前が考えているほど悪い奴じゃないよ」
「光太郎さんは人が良すぎです。いつか馬鹿を見ますよ」
「おまッ、サラリと酷いこと言うよな」
でも、木兎家当主の代わりに黒尾が怒ってくれたから、もうそれでいいじゃないか。
「とにかく、お前は何でも難しく悪い方に考えすぎ!」
光太郎は赤葦の手から筆を取り上げると、少しクセのある黒髪をワシャワシャと撫でた。
「でも色々と考えてくれてありがとな、赤葦!」
「・・・・・・・・・・」
ああ、やっぱり貴方は眩しい人だ。
俺に太陽を想わせる。
「別に・・・これが俺の仕事です」
───貴方の道を作りながら、その裏で墓を掘ることも。
いったいこの手をどれだけ汚せば、全てを埋葬することができるのだろう。
貴方の足元から真っ直ぐと伸びる道を築くことができるのだろう。
「光太郎さんの望み通りにすることが、俺の仕事ですので」
闇の中でしか生きられない梟。
月光と同じ銀色の髪を持つ主を見つめ、微かな笑みを口元に浮かべていた。