第9章 約束をひとつ
額にキスが降りてきて、顔を上げると、カルマがやけに真剣な顔で言った
「絶対に幸せにするから」
もう十分してもらってるんだけどな、なんて思ったけど口には出さない
「ん・・・幸せにしてくれないと、やだからね」
ちょっとひねくれた様に言うあたしにカルマが笑う
ダメだ、本当に涙出てきた
「ね・・・はめて?」
カルマにはめて欲しくて左手を差し出すと
カルマがまるで恭しくと形容するのが正しいような手つきで指輪をはめてくれた
薬指
少し眺める
さっきまで何もなかった場所に、存在する指輪
「とりあえず、婚約指輪ってことで」
実際結婚するのはだいぶ先になるだろうしね、とカルマ
まあ、まだ学生だし、お金もないし、時間もないし
「大学卒業してから、式挙げよう?」
「うん」
何度も頷く
唇を重ねた
まるで誓いのキスのようだと思った
いつか、ウェディングドレスを着てするそれを夢見た
確かに驚いたけど、多分ずっと前から待っていたんだ
こうなること
左手の薬指の指輪を見て、笑う
大好きだよ
「ねえ、カルマ」
「ん?」
カルマ以外の人と一緒にいる未来なんて想像できないから
きっとずっと一緒にいる運命なんだよね
「一生一緒だよ」
「当然」