第15章 shine of the palm
出演者の都合で順番が変わってしまう事も、よくある話のひとつで。
そんな時、帯同しているマネージャーが不在だったとしたら・・・人手は多い方がいいかも知れない。
今のところ私のスケジュールは、CM撮影が降板になった事もあってサウンドシップまでは悲しくも真っ白だし。
それまでに受けるオーディションの結果がどうであれ、その日にいきなり仕事が入る確実さもない。
だけど、私でちゃんと役に立てるか大丈夫なのだろうか?と社長の顔を見れば、社長は大丈夫だよと目で伝えてくれる。
『分かりました。私でお役に立てるなら』
そう答えると、紡さんは安堵した顔を浮かべた。
『もし、ドジっちゃったら・・・とかも考えたんですけど、少しでもそういう事がないように頑張ります』
陸「愛聖さんなら大丈夫だよ!それにもしドジっちゃっても、その時はみんなで考えればいいんだからさ!」
一「七瀬さんは人の事を言えるんですかね」
陸「なんでだよ!それなら一織だって同じだろ?」
一「ご心配なく、私は大丈夫です。七瀬さんこそ、現場でトラブルにあって発作など起こさないようにお願いしますよ」
陸「かっ、かわいくない!!」
あはは・・・また始まった・・・
大「こらこら、いい加減にしなさい・・・じゃ、サウンドシップ当日はマネージャーと愛聖、オレたちをよろしくな?」
こういう時、二階堂さんは、さすがリーダーと言うだけあって纏めるのは早い。
一「そうと決まれば、全員揃っている事ですしレッスン場へ行きましょう。時間は無駄には出来ません」
三「よっしゃ!オレはみんなの倍くらい頑張るぜ!」
『三月さんは気合い入りまくりですね。頑張って下さいね?』
ガッツポーズを掲げる三月さんに言えば、そんな私を一織さんがマジマジと見る。
一「あなたも一緒に体を動かすんですよ、佐伯さん」
『へっ?!な、なんでですか?!』
予想外の言葉に目を丸くしていると、一織さんは眉ひとつ動かすことなく続ける。
一「スケジュールが真っ白という事は、油断するとウェイトオーバーしますよ。普段から四葉さんとプリンやお菓子を食べてる分、どこで消費するんですか?」
あぁ・・・返す言葉が見つからない。
バタンとテーブルに伏せる私の手を引っ張りあげるようにして、一織さんは行きますよ?と立ち上がった。
