第12章 噂の収縮
「エレン、嘘嫌いなんでしょう?
私はダメで、エレンは良いの?
それっていくらなんでも不公平じゃない?」
「それはそうですけど...」
本当のこと話したらこの人、気に病んじまうんじゃねぇか?
俺は別に恩を売りたい訳じゃない。
「えっと、実は訓練で失敗しちまって...」
頬を掻きながら笑って言った。
「......そう」
少し悲しそうな顔をしたキョウカさんが頷いた。
納得してくれたのか?
「エレン。
私、そんなに頼りないかな?」
「はい?」
「今言ったこと、嘘だよね」
問いかけてねぇ。
「私に言えないことなら言わなくて良い。
深くは聞かない。
でも言えること、ましてや私に関係することなら言って欲しい」
「え?」
バレてる...?
キョウカさんの威圧感からゴクリと唾を飲み込んだ。
「...すいません。
噂のことで...」
俺が折れた。
「誰かに何か言われたの?」
そこにあるのはいつものキョウカさんの表情ではない。
眉間にシワが寄ってて、不快感をあらわにしている。
「違うんです。
噂を発してる人を見つけたんで注意に...」
「言ったの?」
「はい」
「それで?」
これは言うしかねぇ流れだ。
話を逸らすことを諦め、口を開く。
「噂を止めて欲しかったら1回抱いてくれって言われて...」
「...まさかとは思うけど、許可したの?」
怖ぇ...。
声のトーンや表情がいつもと全然違ぇ。
怒ってる...。