第1章 三角形 case1
だって、目が、笑ってないのだ。
刺すような視線が私に向いている。
「…黒尾さんは、何食べるか決まりました?」
からかいには反応しない事にして、別の話題で気を逸らした。
どうして、あんな顔で私を見ていたか、なんて聞く勇気は無い。
それで、一旦はからかうのを諦めたのか、視線が私から外れて安堵した。
「俺も決まったから、店員呼んでいいか?」
言うが早いか、すでに呼び出しボタンが押されている。
すぐにやってきた店員に注文を告げて、メニューを壁側に立て掛けた。
「さくら、ドリンクバーはいつもの?」
「あ、うん。ありがと。」
セルフの飲み物を取りに京ちゃんが席を立つ。
「ホント、仲良いんだな。お互いを知り尽くしてます、って?」
京ちゃんが少し離れたのを見計らい、またふざけた事を言い出されて、眉を寄せた。