• テキストサイズ

隣の彼は目つきが悪い【弱虫ペダル】

第8章 秋は夕暮れ②


沙織は諦めたように俯いて部屋に戻った。


そして顔を上げた時、自分の部屋がやけに暗くて静かなことに気がついた。




こんな、、、だったかな。
おかしいな。
アイツが来るまではヘーキでココに1人でいたのに、、、。





沙織は先程まで座っていた場所に腰を下ろした。
いつも1人で座るこの場所も何故か落ち着かなくて、隣を見る。
そこは先程まで荒北が座っていた場所だった。

沙織はその場所を左の手の平でゆっくりとなぞった。
そこにはもう荒北の熱はなかった。




「、、、バァーカチャン」





ふいに、そう言って微笑んだ荒北の顔が浮かんだ。




あの時アイツの肩にもたれかかっていたら、ずっとココに居てくれたかな、、、?



って、ばーかか、私は、、、。



またそんな事が頭を掠めたが、沙織はすぐにかぶりを振って目を伏せた。



あの時のアイツも笑ってた、、、。
でも、、、


いつも吊り上がっていた眉毛が苦しそうに歪んで、いつもは鋭いあの瞳も辛そうで。
沙織はそんな荒北の顔を忘れることができなかった。





「バカはアンタだ、、、」





沙織は大きく息を吸って立ち上がった。





「俺が、、、何とかする?」





ふざけんな。
そんな顔したアンタに何とかしてもらうなんて真っ平だ。








、、、あんな
辛そうな顔。




沙織はギュッと苦しくなった胸を押さえると、サッと素早く立ち上がった。









/ 356ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp