第8章 秋は夕暮れ②
その隙を相手は見逃さなかった。
「5組の相沢さんがね、荒北くんと遊びたいんだって!だから今度皆でどっか行こうよー!」
と畳み掛けてきた。
しかしすぐに平静を取り戻した荒北はすぐに赤本に向き直り、ぶっきらぼうに答えた。
「行かねェ」
5組の相沢?誰だ、それ。
俺は、ンなもんに興味なんてねェンだよ。
「えぇーいいじゃん!」
えぇーいいじゃん!?
、、、全然良くねェ。
「うっせ!俺は受験勉強で忙しいんだヨ!お前も遊んでばっかいねぇでちょっとは勉強しろ!」
俺が今一番気になってるのはァ、
「はぁい、、、ねぇねぇ、じゃあさ今度一緒に勉強しよーよ!」
アイツのことなんだ。
、、、それ以外の奴のことなんて、どうだっていい。
一瞬、チラリと後ろを振り返ると沙織が頭を抱えていた。
ハッ!アイツ、何してンだ?
頭でも打ったのか?
バァーカチャン。
そんなことを考えて頬が緩んだのも束の間、すぐに荒北は溜息を吐いた。
、、、なんてな。
ケド、ホントにバカなのはこの俺だ。
俺が他の奴の誘いを受けようが断ろうがアイツは痛くも痒くもねェんだヨ。
俺がアイツのことを気にした所で何の望みもないんだし。
アイツにとって俺は
ただの元隣に座ってた奴ってだけで。
いい加減諦めて
遊びに行っちゃえってンだ。
今日の子なんて可愛いじゃナァイ!
ボケナスがァ!
、、、だってアイツには
恋人がいるんだから。