第16章 ダイエット作戦!! *長月*
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「ゲヘへ…こりゃ上物だな」
「あぁ、金で売っちまうのもいいが、まずは…」
家屋の並ぶ路地の裏に連れてこられた加州と大和守は、2人まとめて両手を縄で縛られておりしかも散歩ということだったため刀も持っておらずに抵抗ができなかった
「どうするの…清光…」
「隙ができたら縄引きちぎって反撃するけど…ちょっと多いな…」
コソコソと話す2人の事は何も気にしていないようで男達はニヤニヤと笑っている。そのうちの1人が、大和守の顔を掴んだ。
「俺ぁこのお嬢ちゃんがいいな~。可愛がりがいがありそうでよ」
完全に2人を女の子と思い込んでいるこいつらに、加州と大和守はイライラし始めた。
「あのさ、おじさん達。僕ら男なんだけどいいの?」
「そーだよ、さすがのおじさん達も男の俺らどうこうするなんてみっともないこと…」
「あぁ?何言ってんだよ、男だと分かっててやってるに決まってるだろ?」
「…え?」
男達の予想外の答えに2人は動転した
女は妊娠の危険もあれば、病持ちも少なくないため危険性が少ない男で楽しむのがこの下町では流行っていると話した。
「特にお前達みたいな綺麗な顔の男はよく売れるんだよ。分かったら大人しくしてろよ」
と、男は手に小太刀を持ちながら2人を脅していく。
すると男の部下の1人が「ぐぁあ!!」と叫び声をあげた。
「な…何だ!!」
仲間の別の男も声を上げて、叫んだ男の方を見た。
そこには、男の1人の着物の襟を掴んで立ち尽くしている少女がいた。
「え…冴姫…?」
『やっぱり…あたしなんかよりも…加州君や大和君の方が…魅力的みたいですね…』
ブツブツと譫言を言いながら座った目で加州や大和守を見る彼女は・・・彼らでも見たことないくらい怖かった
『こんなデブな女よりも…華奢で綺麗な男の方が…いいんですね…』
「あぁ?なんだこのおんn…」
『うっせえんだよこなクソーーーー!!!!!』
と、彼女は襟を掴んできた男を男達の中で一番デカい男に向かってぶん投げた。
『ちょうどよかった、あたし…運動しないといけないんですよ。ちょっと…付き合ってくださいよ』
と、なぜか自分自身を取り出し抜刀はしないもののかたなを鞘に納めたまま男達に切りかかっていった。