第28章 子達の来訪
フィン「一ついいかい?」
ケイト「?」
フィン「聞くのも今更なんだが…
敬遠されると、本気で思ったのか…それだけははっきりしてもらいたい」
ケイト「……違うよ」
フィン「?何がどう違うというんだい?」
ケイト「……」
口を開け……何か言おうと口を動かした後、再び閉じて深呼吸をし出した。
それから目を逸らし、ようやく声が聞こえてきた。
ケイト「こ、こわかったんだ」
震えた声で、絞り出されるように…
フィン「どういう風に?」
ケイト「……差別しないの、わかってる。
でも…それでも、嘘つき呼ばわりされたの…消えてくれない。
やったの、違う人…わかってる。でも…止められなくって」
フィン「…長年の習慣か」ぽつり
ケイト「心の準備、必要だった。
私の普通は、価値観は…他と、違う。
環境も、遭わされてきた思いも違うせいで…
正直…今も、受け入れてもらえるそれが普通だなんて思えない。
それが普通だと思える気持ちなんて、わかんない。
まず、理解、したかった……
でも…温かいこれが何なのか、何で…育ての家族が、そうしてくれたのか……どうしても、わかんないんだ。
でも、された時…それが続いた時…とても、嬉しかったのだけは…今でも、はっきりと覚えてるっ」涙目
言葉を詰まらせながら、それでもなお言葉を続けた。
ケイト「でも…それでも……年数が、長過ぎた。
ごめん…私、まだ…わかんない。それが普通だなんて、思えない。
自分を殴らないと安心できなかったのに、笑えなかったのにっ!;
変なんだ…おかしいんだっ;
私は道具なのにっ…親の所有物で、殴られてないといけないのにっ(くしゃ)←自身の前髪を右手で握り締める
暴言吐かれないといけないのにっ;;
今でも…受け入れられた後でも、不意にそんな思いに支配される。
どうあっても…消えて、くれないんだ。
それと…同じぐらい、どうしても…言おうとすると、身体が強張って…何も、出なくなる。
ごめん……まだっ…時間、足りないっぽいっ;;」
そう俯いて目も合わさないままぽろぽろと涙を零すケイトを、僕はそっと抱き寄せて言った。
フィン「慣れていけばいい。もう道具だなんて思う必要もない。
自分というものを持っていいんだ。
たとえそれが…相手を傷付けない為に君が選んだ道だとしても」