第95章 神(しん)
フィン「話の論点がズレている…
どうすれば…
君の負荷は楽になる?」
ケイト「………
さっきも言ったが…
ゼロにはならない
人は弱いものもいる
誰かのせいにしないと生きられない人もいる
それを全て根絶することは出来ない
人がいる限り…心がある限り…
誰もが成長の過程で通る道筋だ
避けては通れない
たとえどんなに月日が巡り、年月が経とうとも…
生きている限り、決して無にはならない
だから『背負う』と言う
己が為すべきことを為しているだけに過ぎない
だから気にするな」
フィン「出来るのか…?
立場が逆で、君なら」
ケイト「無理だな」
フィン「なら何故それを求める!!?」がたっ!!
ケイト「……………」
フィン「……………」涙目
真剣な表情で、目と目が合う
どちらも真剣な眼差しで、譲らぬと目が言っていた
ケイト「………
ごめんな」目を伏せる
フィン「なにが…」
ケイト「……
出来ることなら…
そんな思い、させない道を選びたかった
それでも…避けられない定めだ
癌の在り方
自分の支払うべき全てを、人に支払わせて回る
人を、自分に依存させて回り、利用し、搾取のみを続ける
それは…赤子の内は避けられぬこと
そのまま成長出来ないから、成長不全と形容した
中身が赤子のまま、自分で支払うことを考えず、後先も考えずにやりたい放題して、後片付けも責任も全て他人任せ
だから…成長した幼子でも出来る
「あい!いつもありがとう!^^」なんて笑い掛けて何かを差し出すことも無く、道で見つけた小さな花でも摘んでいつものお礼をあげようだなんて行為も一切取らない
一歳児でも出来る
あげる、貸す、なんて行為も一つとして取ることは無い
それが……癌としての、揺るがぬ証だ
中身が無いんだ
空っぽなんだよ
背負わないから
果たさないから
満たされることなんて無いんだよ
中身が存在することも…全部……
誰もが最初は希薄なものなんだ
それを少しずつ経験を踏んで、濃くしていって
揺るがぬ自分というものを持つ
軸を持ち、背負い、果たし、成長してゆく
その道筋を自分で奪い、堕落した
自分の意志で、他人に全て支払わせるという選択をした
その行為を取り、繰り返し続けた時点で
癌という、半グロという、在り方が確定する…消滅という罰も」