第83章 剪定
ケイト「自分を大事に……
出来たら…
…苦労しない;」ずうううううううううん
お前を大事に想うもの等いない――
遠い昔からこびりついた、傷と共に焼き付いた記憶が、離れてくれない
どう在っても――
俺が居ない方がよかった―――
俺なんか要らない―――
産まなければよかった
情けない
父からだけではない、母からの言葉
消えない言葉が――どうしても、脳裏に、根底に、焼き付いて、焼き付いたたまま、深く深く根を張り続ける
痛みを増しながら―――
ジッと耐える以外の選択肢を、与えられた試しも無かった
ケイト「…………」俯
フィン「…‥
大丈夫だ…出来るようになるよ」
ケイト「へ?」
フィン「…哀しい思い出が多くても、これから作っていけるはずだ。
君の大事な人から、虐げられたのだとしても…君が君を虐げていいことにはならない。
少なくとも…今目の前にいる君の大事な人は、君を虐げようだなんて思ってないよ?」
ケイト「!っ」じわっ←双眸から涙が浮かぶ
フィン「大丈夫」なで
ケイト「…」ぽとっ←歯噛みしたまま溢れ出した涙が双眸から零れ落ちる
フィン「…ちゃんと居るよ、君を求める人は…
ありのままの姿のままで、いいんだよ。
無理をしなくて…いいんだ」ぎゅっ
ケイト「……ありがとう」瞑目ぐすっ
ぎゅうううっ
強く抱き返す中…涙が次から次に零れ落ちて行っては消えて行った
居てはいけない存在――
そう、植え付けられてしまったのなら…
変えて行けばいい…
今からでも、出来ることを通して、支えて……
変わっていくことを――自身の幸せを願えるように、なれるまで
ひとりにならないで、と
ひとりになろうとしてまで、己以外の全てを大事に想って、無理にでも、無理やりにでも、犠牲になろうとする、してしまう君だから…自分を、心ごと押し殺そうとしてまで、大事に出来る君だから…伝えるしかないんだ、僕等には―――
その声が、願いが…想いが、届くことを、伝わることを、願いながら―――
君にとっては辛い選択かもしれない…いずれにしても……
でも…僕は…僕達は……君が、そのままであることを望まない…
それがどんなに、僕等にとって幸せであったとしても…君の幸せが無い未来を、選びたくはないんだ
君も僕達も、全ても幸せである未来を、一緒に択びたいから