第73章 キルアの冒険
魂の位とは…『神の力』を持つに匹敵する『人格者』、その程度を示す証。
神の位とは光そのものの神界であり、
その逆が闇そのものの地獄だ。
闇は、その人の一部だ。
決して消えることは無い。無くなることも無い。
光も闇もあって初めて人だ。
要は、自身の闇と向き合ったり、
それでもブレず、ふらふらせず、『光』を貫けるか。
どんな誘惑にも、衝動にも、負けず、戦えるか。
振るわれる先の、その者達の心や気持ち、『傷』を汲めるか。
そこが主となる。
好きに力を使うだけ使っておいて、するだけしておいて、責任は取りませんじゃ、なんの意味も無い。
『与り知らぬ事情』さえ汲み、考えなければならない…
不利益を被ったから悪と蓋をするのではなく、『決め付けない姿勢』が大事となる。
物事の本質を見ようともすらしないその姿勢は…正しいものすらをも啄ばみ、殺し得る。
世界を救った件でも、謝礼金の山に対し、
目もくれず、先行投資として学舎と神殿と治療場にそのまま共有させて放置した。
国庫にも一切手も何も触れず、あるもので何とかしようと努力し、どうしようもない場合にのみ全員の同意を得てから使う。しかも書類とデータとしてしっかり残す徹底ぶり。
…文句?違うな。
もし自分のことや為ばかりならば、率先して実父の文句を延々語り続けることだろう。
だが…しない。
実父にも抱えるものがあるというのも知っている。
「親がそうだったからやってやるんだー!!」という意も汲んでしまう(しまえる)あたり、はっきりわかるだろう。
実際は…
そんな重いものを抱えても無いものが、
自分のしたいことが為に、理不尽を欲しいままに好きに与え、
皆に庇わせ、いくらでも繰り返せる醜さ、やり口のあくどさに、
世の醜悪さの根源に対し、怒っている。
アポロン・ファミリアは、ヘスティア・ファミリアとの戦争遊戯で
「リリルカ・アーデの変身魔法で成り済まされたルアン・エスペル」の裏切り行為により負けた。
実際のルアンはミアハ・ファミリアに監禁されており、何も裏切ってはいなかった。
空中都市コクーンを作って防衛隊の土台がしっかりと組み上がった後…
ケイトが真っ先にしたのが、ルアンの『防衛隊』への勧誘だった。
『小人の隠れ家亭』の酒場店員をやめるかどうかは好きにしていいという条件で。
