第73章 キルアの冒険

酷い目に遭うべき人が遭わず
遭わざるべき人ばかりが遭い、

そういうことをされるに値する人がされず
しない人、されるに値しない人ばかりがされ、

汲もうと配慮する輩ばかりが踏み付けられ
強く主張できる人ばかりが台頭し、全てを意に介さず殺して回り、

『本来あるべき姿』とは逆のことばかりがこの世には多く蔓延り、現実には起きていない…
というより、勝手な輩により殺され、実現できないよう人為的にされている。


その矛盾は…人のことを考えない醜悪なものばかりが、楽や得をしやすいというだけに過ぎない。



ケイトは…理解されること（エゴ）を、望んではいない…

ただ…同じ境遇者を、減らしたいんだ。
それを減らす為に、振り回す人を減らしたい一心で…戦っているんだ。


誰もが、されたくはないこと…共通して抱くこと…

それを、叶えたいんだ。



傷付き合う現状…

やり方を厭わないことで、自分にとって都合のいい結果だけを見て、他に蓋をされ、
されるに値しない人ばかりが泣き寝入り以外許されない現実…

それらを、変えたいんだ…


それを与えている人を…その『意思』こそが、『認識』こそが、憎むべき対象であり仇だから、是が非でも止めたいんだ。



ただ一つ…

やり方を選べ、という話…


それさえも、その気さえ済めば、結果さえよければと蓋をし、思考を停止し、
犠牲者がある現状をも気にせず、意に介さず笑う。
だから繰り返される。

繰り返すまいと、意識しているものと、していないものとでは、全くもって結果が異なる。
しようともしていないものでは、結果が伴うはずもない。


重要さも、意識も、認識も、何もかもが狂っている…
その現状さえも正しく理解できないまま、認識できないまま…笑うその様子は…

さぞかし、狂って見えたことだろう…
自分達だけにとって都合よく、綺麗な光景だけを見、得て当たり前だと、温室のように守り合って笑う…
他を犠牲にしなければ決して成り立たない安全圏で…

偽りの、ただ合わない正義を、経緯ある周囲を傷付けて正当化するだけの、「がらんどうの正義（英雄像）」を…


誰もがある経緯を…心を、傷を、無視した。押し付けた。傷付けた。

それに、何の報いも受けず、当たり前と唾棄したも同然のことをし続けて、なおも笑っている。
…たとえ、何もしていなくとも…